New Petzval レンズ でボケ写真を撮って遊ぼう!


EOS-1D X + Lomography Petzval 85mm F2.2

Lomography がKMZ(ロシアのレンズ工場)と協力していにしえの大口径レンズ Petzval レンズ復活を行うべく、
クラウドファンディングで開発資金を募ってたので、
私はその出資者(パトロンと言います)として出資してましたが、
先日その出資に対するリターンとしてペッツバールレンズが送られてきました。

せっかくなので Petzval レビューします。
ボケが独特のこのレンズ、好きな人は好きになるだろうなぁと思います。僕は好きです。

※この記事で撮影された写真は撮って出しではありません。私が好きに調整しています。

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【1:開封篇】

豪華な箱に入って届きました。LC-A を買ったときのあのロシアンチープな感じは全くありません。
箱の横のはおまけで付属したトートバッグ。A4書類がすっぽり入る結構大きいサイズで使いやすそうです。


箱を開けるとこんな感じ。顔写真のは作例とマニュアルが載った冊子です(後述)。


レンズは限定の刻印入り黒モデル。塗装はマット地かと思っていましたが、予想外に光沢。
指紋や腐食を考えるとこの光沢塗装の方が良さそうです。


レンズキャップとレンズ本体。開発資金目標達成のおまけで真鍮の黒いキャップが付属しました。


シリアルナンバーと検品のサインが。私は600番台でした。


ピント調節は一般的なヘリコイドと違ってノブを回します。
最至近から無限遠まで100°くらい、意外にピント合わせ時の進み量は大きいです。
素早いピント合わせが出来るというべきか、細かい調節はちょっと、となるか…。
私にとってはちょうどよいくらいの敏感度。細かい調節も普通に可能と思っています。


そうそう、素敵な茶色いスエード調の革製レンズポーチも付属してます。おまけ攻撃。


ただしこのレンズポーチ、けっこう小さめで、かなりぐいぐい押し込まないとレンズしまえません。
写真はなんとか押し込んだあと。いったん入ると座りは良さそう。



絞りは固定絞りをレンズ上部のスロットから差し込むウォーターハウス式絞り。
昔むかしの写真用レンズなんかはこの方式だったそうです。※博物館で見たことあります、レベル。

このペッツバールにも、開放F2.2からF16まで各絞り径のプレートが付属します。
端部はエッジで仕上げられていて、ゴーストにも配慮されている様子。
茶色く塗装された金属板で質感はとても高いです。

ただしこの絞りプレート、
逆さにすると落ちる
縦位置でも滑りやすい
移動時には無限遠にしておかないと抜ける
という実用に支障が出る感じの面倒くさいトラップがあるので、扱いには注意が必要です。


諸事情(リターン内容として「真鍮製の"前後"キャップ」付属、というアナウンスをロモが行ってしまったミス。
実際は真鍮製なのはフロントで、リアはプラスチック製です)
のお詫びとして用意されたおまけの絞りプレート。
ボケの形が星になったり涙形になったりします。
これは別で製作されたのか、塗装が黒く塗られていたり、板金を抜きっぱなしで
絞り部がエッジになってなかったりと、付属の絞りプレートとは異なる仕上がり。

クラウドファンディングの特徴なのかロモの気質なのかは分かりませんが、
今回のプロジェクトは、とにかくおまけが次から次から添付されてくるイメージでした。
あまりのおまけ攻めに、そんなに気を使わなくても良いのに、と思ってしまいます。


さて、最初の方の写真に出てきた人の顔が映ってる冊子、中身は魅力の紹介を兼ねた写真集です。
文字記載は基本的には英語、ペッツバールの歴史紹介や、作例写真などがたくさん載っています。


冊子の後半にはマニュアル(と言っても簡単なものですが)が。これは各国語。日本語もあるよ。



この到着したペッツバールレンズ全体をみて思うのは、ロモというイメージには全くそぐわない品質の良さと質感の高さ(失礼)。

どうしてもLC-Aとかスメナ8Mとかあの辺の思い出から、ロモの製品として想像するのは
「面白いけど壊れやすい」
「面白いけどプラスチッキー」
「面白いけど品質が…」

という、「面白いけど△△△」という側面。
今回はKMZの側面が強かったのかどうか分かりませんが、非常に質感と仕上げが抜群に良い、素敵なレンズが届きました。

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【2:実写篇】

<ぐるぐるボケについて>

ペッツバールと言うとぐるぐるボケが有名で、好きな人にはたまらんボケを描くんですが、狙えばこんな↑感じですごく出ます。
見てくださいこのボケ感を!現代のレンズ評価からすると粗悪品以外の何者でもないですよ!このボケが欲しかったの!素敵!

…とはいえ、ぐるぐる感がいつも出るとは限りません。試しに同一地点から同一被写体を撮り比べました。
被写体は約1.5m先の地面に落ちていた新聞紙です。

A:まずは立った位置から。

あまりボケてはいないです。

B:つぎに中腰で。

こうやると背景と主被写体の距離が程よく出て、ぐるぐる感が出てきます。

C:最後にしゃがみ位置。

ぐるぐる感はあるんですが、無限遠の背景ではそれほど強い印象を与えません。

…他にもいろいろ実写してみたんですが、どうやら、開放でぐるぐるが出やすいのは
次のような一定の条件が揃った時のようだと言うことが分かってきました。
※これはちなみに KMZ Helios-40 も同じ印象です。

  • 主被写体と背景に程よい距離差がある:1mくらい以上離れると良さそう
  • 背景は高周波かつ高コントラストである:模様のある壁紙とか、木漏れ日とか
  • 背景は無限遠ではない/無限遠の場合はコントラストが強いor点光源がある

これらの条件をキャッチすれば、いつでもどこでもぐるぐるライフ!

<実写感想>

  1. ど中央以外は甘い
  2. ぐるぐるボケで有名なHelios-40よりも全然甘い
  3. 意外に軽くこれなら気軽にすいすいと持ち歩けそう
  4. ノブ式のピント合わせは割とやりやすい
  5. 絞りプレートは落としやすい!移動時にレンズを無限遠固定は必須
  6. 開放しか使わない人はパーマセルで固定してて良いんじゃないか
  7. 真鍮キャップも超!落としやすいので持ち歩き時には外しっぱで良いのではないか
  8. ファインダでピント合わせしにくいのはそもそもピントが甘いからです
  9. あ、前ボケは普通にボケるんですね



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けっこう素敵なペッツバール、今なら一般販売用もあるらしいので、ご興味のある方は、是非。