SIGMA DP2x で写真を撮ったよ!(DP2x レビュー)

SIGMA DP2xを買ったので、持ち出して写真を撮っています。
(掲載写真はDP2xで撮影したもの。ただし、撮って出しではありません)

レビュー書こうかと思ってかいてみましたが、難しいです。
自分のなかでも評価が定まっていない。不思議なカメラ。

「あぁこれはFoveonに嵌まる人出るだろうな」という圧倒的描写を誇る異質の写りと、
「使ってると他メーカーのカメラがいかに優秀かを実感する」という、周回遅れ的な操作性とが相まって、
よくも悪くも孤高のカメラとなっています。



【ここが素敵!:当たった時の写りは抜群】

低感度、ほどよい光源下、近接から中間域で、コントラストつきすぎてない状況での描写はすごく精細かつ繊細。
何が違うのかははっきりと言葉にはできないものの、やっぱり何か違う、透明感的なものがある気がする。
あぁやっぱりFoveonは違うんかなぁとびっくりすることがあります。



【ここも素敵!:一眼レフ並みのボケ】

大型センサと換算41mm(実際は24.2mm)F2.8による程よいボケが、やっぱり綺麗。
フルサイズ+単焦点の組み合わせもボケはものっそい綺麗ですが、
やっぱりちょっとボケすぎることもあって、このくらいの溶けすぎずうるさくもない
"程よい"ボケ量が、コンパクトカメラとしては非常に使いやすい焦点距離じゃないかなと思います。



【ここも結構素敵:ボディサイズ】

あんまり小さすぎず、軽すぎず、重すぎず!
軽かったり薄ければ良いってもんじゃないんですよ!
やっぱりモノにはほど良い適正な重さというものが(以下略)。
見た目の大きさに比べると、持ってみた時の軽さは「ひょい」という感じ。
思ったよりも軽いな、と思う人が多いのではと思います。
鞄に入れるならこのサイズまでが限界かなぁと思います。


【ここがちょっと1:時代遅れの23万ドット液晶】

色味は悪くないけど、ちょっと2011年に5万円したカメラに積まれる液晶ではないんじゃないかと。
いまや売れ筋コンデジなら3インチVGA92万ドット液晶とかを普通に搭載している訳で、
2.5インチQVGA23万ドットは、ちょっとあまりに使いづらい。
MFリングとかを付けている割りには、液晶でのピント合わせはけっこう難しいし。
あとコンパクトデジタルカメラの液晶って、撮った写真を他の人に見せる、というシチュエーションも多いので、
そういう時に23万ドットだと「何が写ってるかの確認」にしか使えない。
これが92万ドットだと、どんな風に写ってるかや色がどうだ、コントラストは…と、
やはり格段に"綺麗"に見えるので、きっとFOVEON布教にもプラスになるはず…っ!
一眼レフにとって光学ファインダーが重要なように、
コンデジにとって液晶は重要かつ手抜きすべきでない要素かと思われます。
次はもっと高精細・高コントラストな液晶を載せてほしいです。


【ここがちょっと2:各操作部材の"残念さ"というか】

どうしてかぶせ式キャップなのかとか、ストロボポップアップのバネ強過ぎませんかとか、ボタン類をちょっと触ったときに奥から鳴るスプリング音とかはもうちょっとなんとかしてほしいなとか、レンズ繰り出しのギヤこすれ跡みたいなのが鏡筒に付いてみえるのはよろしくないんじゃないかとか、せめて電池挿入部の周りのプラスチック部材にはシボを打ちませんかとか、せっかくのダイヤルをMF用一択にしちゃうのはもったいなすぎませんかとか、MFを推すなら推すでMF時に中心部拡大してくれても良いんじゃないかとか、いくら何でも書き込み中に操作すると液晶画面乱れるとかプロセッサに余裕なさ過ぎでしょうとか、モーター駆動音頑張り過ぎじゃないかとか、AF合ってないのに合ってるって時々だけど言っちゃってませんかとか。

これらはぜんぶぜんぶ本質的な部分では決してないとは分かっていますが、
このあたりが、実際には店頭で手に取られて、値札と比較されて決められてしまうのが実際な訳で、
Foveonの良さを知らしめたいのであればなおのこと、
お客さんが購入して、撮影して、撮られた写真を目にするまでの障害を取り除く、
万全の努力をメーカー側はするべきなんじゃないかなと、そう思います。

Foveonの性能の良さがあるからこそ、
こういったつまらない部分でお客さんが振り落とされてしまうのは、
ものすごく、ものすごく勿体ないと感じてしまってます。



DP2xの癖?をよく見て、DP2xが一番綺麗な描写をする条件を探してセッティングしてやって、
注意して撮影すれば、それはもう他のコンデジとは比べ物にならない、
某社や某社の高額な一眼レフと比較して云々というレベルの大ホームランをたたき出します。

…たたき出しますが、じゃあこの描写は、他のベイヤー配列一眼レフで撮影するのが不可能な、
本当に唯一無二な描写なのかと問われれば、いやそこまでのことはないんじゃないかとも思います。
おそらく撮影者の腕や調整の工夫でカバーできる領分が結構ある。

…僕はまだFoveonならでは、という描写を撮れるステージにまでは達していない、というのもあります。
なので、それなりに小さくて軽くて描写は良いけど当たり外れがあまりに多いのでココ一番では任せにくい、
大事な撮影には結局よっこらしょと一眼を持ってちゃいますよと、いまはこうなっちゃう。

じゃあ、と普段使いに持ち出しても、
今度は最近の秀才コンデジ系ソツのなさ(高感度とか俊敏さとか手ぶれ補正とかの便利機能的な意味で)が
ありませんから、気を使って、DP2x様の魅力を引き出す撮り方を、考え考え撮影する必要がある。
カメラとしても使われ方としてもスイートスポットがえらく狭いなぁと思ってしまいます。

…いったん惚れた人ならば心中しても後悔のないだろうことは容易に想像できるカメラです。
上の段落はえらい酷評みたいになっちゃってますが、本当に凄いカメラです。
ただ、私とEOS 5D Mark IIのような、愛のない欲得ずくの関係を築くには決定的に不器用です。

果たしてこの子とは心中する覚悟がないと魅力を引き出し切れないんじゃないか、と、
そんな一昔前のメロドラマ的発想が出て来てしまって(きっと柱の影から市原悦子が覗いている)、
このカメラに対してそれだけかしずく価値があるのか、どうすんだ(何を?)という点が、
正直いまの自分では決めかねているところなのです。