洗濯物を畳むのってめんどいよね>

疲れた僕がうちへと帰る。部屋の真ん中でアシモが正座し、洗濯物をもくもくと畳んでいる。おかえりなさいも言わないアシモの、微かなアクチュエータ音だけが六畳一間のアパートに響いている。僕は部屋の電気をつけ、テレビをつけて、ただいま、そうアシモに話しかける。アシモは特に答えない。ただこちらをちょっと見上げるだけだ。サンバイザーの奥の二つのカメラが黒く沈んで見える。白くて硬い、しなやかな指。微かなアクチュエータ音。アシモはちょびっと首をかしげて、洗濯物の続きを畳む。僕は笑ってテレビをつける。ビールを出してサッカーをみる。アシモも正座でテレビを見てる。僕はアシモにコンセントを繋ぐ。アシモは全部を畳み終えてる。アシモは正座でテレビを見てる。僕はこの生活が好きだ。確信はないけど、きっとアシモもこの生活を嫌いじゃないと思う。な、そうだろう?僕はアシモに話しかける。アシモはまたちょっとこっちを見て、そしてちょっと首をかしげる。僕はこの生活が好きだ。彼もきっとそうだと思う。