Canon EOS 5D MarkII レビュー

2009年1月にmixiにて書いたレビューを一部追加して再掲します。
あくまでこれは一個人の意見です。異論は認める。がっつり認める。


Canon EOS 5D MarkII + Canon EF50mm F1.8 II


さて、 おそらくはデジタル一眼レフではじめてフィルム一眼とほぼ同等のレスポンスや使い勝手を実現し、今の2桁EOSのベースとなった機種(註1)であるEOS 20D。無理をしていない素性の良さを感じさせる性能もあって、

「写真作品を作ること」

だけを考えるのであれば未だに現役扱いしても構わないこのカメラですが、やはり3年の進歩は大きいです。使う中でいくつかの欠点が気になりはじめました。



Canon EOS 5D MarkII + EF16-35mm F2.8L USM


<欠点1:液晶が酷い>
2004年当時の平均スペックを考えると実はそれほど時代遅れではないのですが、やはり狭視野角の1.8インチ液晶は、

(1) ピントが合ってるかが良く分からない
(2) 傾けると何が写ってるかも分からない
(3) 色味は悪くないがコントラストが薄い、

という「使えない」仕様。

<欠点2:ファインダーが小さい>
APS-Cサイズでは、いまなおそれほど酷くはないのかな、とは思います。
しかし、1.3倍のマグニファイヤーを付けても、ディスタゴン35mmF1.4のピントはまず分かりません。
ファインダースクリーンが交換出来ない(註2)のも痛い。動かないモデル相手でもヒット率は25%程度でしょうか。4〜5枚撮って1枚合うかどうかの体たらく。しかも液晶で確認がしづらいため、PCで見てはじめて気付くという場面もしばしば。

<3:APS-Cサイズは…>
APS-Cでは「35mmF1.4が勿体ない」「魚眼が勿体ない」という二点ですが、やっぱり、折角レンズがあるのに、勿体ないです(註3)。

と、まあ、いくつかありますが、それほど致命的ではありませんね。
はい、20Dは良いカメラだと思います。

いろいろ言って、やっぱりフルサイズが良いなぁというのと、ディスタゴン35mmF1.4が使いたかった、バイト代がいい感じに溜まっていた(註4)というのが大きいです。要は欲しかったのです。

ということで、ずっと欲しいな、買っちゃおうかなと思っていながら待っていましたが、ある日その物欲が、しきい値をさらっと超えまして、発作的に買ってしまいました。



EOS 5D mark II。



EOSのフルサイズデジタル一眼レフカメラです。




Canon EOS 5D Mark II 】
センサー:約2110万画素、36mm×24mmCMOS
有効感度:ISO100〜6400 ( 拡張時ISO50〜25600 )
連写速度:秒3.9コマ、連続RAW撮影枚数13枚
液晶画面:3.0型92万ドットTFTカラーモニタ(視野角170°)
AF機能:9点+アシスト6点TTL位相差検出式AF、ライブビュー時にはコントラストAFも可能。
動画撮影:1920×1080/30p、680×480/30p、H.264(MOV形式)圧縮、リニアPCMモノラル録音




Canon EOS 5D MarkII + EF50mm F1.8 II


おおざっぱにはEOS 40D、50DやNikon D700あたりの速写性やメカ性能を削って、
その分のコストをセンサーや画素数、動画に詰め込んだと考えてもらったらOKです。
以下は使っていての感想など、です。



Canon EOS 5D MarkII + EF50mm F1.8 II


【◎◎◎:フルサイズは良いよね】
2110万画素の高精細!!超広角16mmの広さ!!対角線魚眼!!

それになにより、

ディスタゴン35mmが、EF16-35mmF2.8Lが、EF28mmF2.8が、EF50mmF1.8が、

レンズの端っこまで全部使える!!周辺減光万歳!!ひゃっほう!!

作品一点をB1(1030 × 728 mm)に引き延ばしましたが、余裕で鑑賞できました。
あれはすごかった。ノイズレスに超高解像。鑑賞距離20cmとかでも余裕でした。



【◎◎◎:ファインダーが超広い】
5D2広い!よりも、やっぱりAPS-Cは狭いよね、という結論になっちゃうのです。

いや、やっぱ、広い。快適。楽しいです。
現在、ファインダースクリーンをF2.8以上のレンズでピントが掴みやすいという「Eg-S」スクリーンに交換し(そのかわりF4とかでは暗くなる)、1.3×のマグニファイヤーをファインダーに取り付けているので、スペック上ではオリンパスOM-1くらいの広さ(98%、0.91倍)を持っています。

さすがに広すぎて眼鏡のままではケラレるので、視度補正をマイナスいっぱいにまわし、眼鏡をはずして右目で見ています。ディスタゴン35mmもほぼ完全にピントが分かります(註5)。これですよ。超快適。




Canon EOS 5D MarkII + EF50mm F1.8 II


【◎:液晶が綺麗】
これを見てしまうと、正直20Dには戻れません。よくあんなものを使っていたなという感じです。 コントラストも高く、画面も大きくて非常に綺麗で高精細です。むしろパソコンで見るよりもくっきり、鮮やか。イメージ的にはグレア液晶で見たときの綺麗さみたいな。ピントも分かりやすく、とっても見やすい。おそらく現機種最高タイではないかなぁと思います。
キヤノンの液晶はだいぶ遅れていたので、やっと追いついたという言い方も出来ます。当時1.8型液晶っていうのはそれほど悪くないスペックではあったけど、出来るなら20Dのときにこれして欲しかった。

ただし、視野角は広いとはいえ、傾けると色というかコントラストが若干変わるので、みんなで見たりする時に不便な20Dほどではありませんが、正確性的な意味では、やっぱり正面から見た方が良いです。




Canon EOS 5D MarkII + Canon EF50mm F1.8 II


【○?:操作系も使いやすい、と、思う】
メニュー項目を探したりいじったりするときに、

「横に回すメインダイヤルで横移動・縦に回すサブダイヤルで縦移動」

というアナロジーはとっても分かりやすいし、階層も浅いので他機種から来た人でもすぐなじむと思うのですが

「サブダイヤルをぐりぐり回していればいつか望みのメニューにたどり着く」

20D/30D/5Dの操作系ではなくなってしまったので、そこはちょっと戸惑うこともあります。でもすぐ(3日)慣れる。
また、機種ごとでボタン配置がころころ変わる非情な"非EOS-1系"の例にもれず、20Dとはボタンの順番が全く違う5D2ですが、ボタン位置の最適化が図られ、単体での使い勝手そのものは向上している感じです。ただ、前の機種に慣れちゃってて、買い換えっていう人は微妙かも。でもすぐ(3日)慣れる。

あと20Dで左ナナメ下が全く入らなかったマルチコントローラ(ジョイスティック)は、大きくなって多少改善。でもまだ時々ナナメは入りにくいときがある。



Canon EOS 5D MarkII + EF28mm F2.8


【○:高感度やばし】
上の写真はISO4000(!)の撮って出し等倍。さすがにノイズリダクションは「標準」に設定しているものの、この感度が常用出来るとは思わなかった…。ピクセル等倍でみれば、もちろん、ノイズを潰してる無理さが所々に垣間見えるのですが、それでも20DのISO800とかと比べると格段に差があります。
印刷サイズで考えると尚更、潰してもなお精細なので、加工耐性は全体としてかなりある印象です。5D2を買ってからISOをオートにして、「今感度がいくつなのか」を殆ど気にしなくなりました。



Canon EOS 5D MarkII + EF16-35mm F2.8 L USM


…とはいえ、◎や○ばっかりとはいかないもので…



Canon EOS 5D MarkII + Carl Zeiss Distagon 1.4/35 T*


【△:データデカすぎ】
1枚25MBって何よ。でかいよ。

現在RAW+JPG(M:1100万画素)で撮ってますが、130枚撮ると4GBのCFがいっぱいになります。フルハイビジョンでビデオ撮ると1分で300MBです。アホか。フルハイビジョンは前のPowerBookでは全く再生出来ないので使えませんでした。一コマ目が表示されて、次のコマに画面が遷移するまでに音声が終わってしまうという…。
やっと最近MacBookProを買ってストレスフリーな鑑賞が出来るようになりました。しかし一説によると、Core2 Duo2.6GHz、メモリ4GB、ビデオボード GeForce9600 GT なMacBook Proでも、フルHDの編集はストレスフリーにはいかないという話も…。

あと、フォトショップで「境界線ぼかし」が250pxまでしか使えないので、あんまり解像度高いと、加工の時に気を使います。 今後はクイックマスクを積極的に使っていく感じで。



Canon EOS 5D MarkII + EF70-200mm F4L IS USM


【△:言うほどボディ悪くないよ】
巷で言われている程、「チャチだ」とか「ぺこぺこ」とか「高級感が無い」とか、そういう感じはありません。みんなアレ先入観で言ってないか。

もちろん、1D系とかと比べるとアレなのかもしれませんが、ボディ剛性とか、表面処理とか、ちゃんとしてます。ざらざらになった塗装とかも、20Dより良い感じ。けど、なんだろう、機械ヲタ的興味はあんまりないなぁ…。「いい写真データが撮れればそれで文句ないんでしょ」みたいな、割り切った雰囲気があるのは確かです。理性的で撮るための道具に徹していると考えるか、愛とこだわりが足りんのだ!けしからん!と考えるかは、人それぞれだとおもいます。カメラに重点を置くか、写真に重点を置くか…。



Canon EOS 5D MarkII + EF16-35mm F2.8L USM


【△:AFは普通】
ふっつーのAFです。ぱっと見は20Dと同等っぽい。これ旧5Dと同じじゃないか。精度はなかなか良い感じです。70-200mmF4ISでは爆速かつ正確なピント合わせをしてくれますが、F1.8だと、時々ピントを詰めきれないまま合焦判定をしてしまったりする(註6)、ので油断ならない。単焦点大口径解放はマニュアルでいいや。そう考えるとプラナーの50mmF1.4かプラナー85mF1.4が欲しくなる。

でも動体撮影なんかでは、Kissとかとは次元がちゃいますよ。1系ほどじゃないにせよ晴天での食いつきは半端ないです。
あ、そう、暗いと遅くなるし迷うのは減点かな。それでもフィルム自体に比べると格段の進歩です。

【×:ちょっともっさり】
レスポンスの遅さにイライラする!という感じでは決して無いです。アクセス速度も20Dより格段に速いし、操作や入力でのタイムラグは皆無です。ただ、まぁ、レリーズタイムラグとか、あの辺が爆速とは言いにくいなと。
僕はどちらかというと、連写速度よりも、20Dの「6コマでバッファフル⇒書き込み待ち」
にイライラしていた身ですので、秒3.9コマに私は不満ないのですが、決して俊敏ではありません。ちょっとのんびりです。
攻撃性が無いと取るか、ノロマと取るか。

【×××××:Pantherを切り捨てるのはやめて!】
あのさ、今は良いよ。MacBook Pro買ったし。OSはLeopard(OS X 10.5.7)だし。自分の買ったカメラの現像処理が自分のPCで出来ないとかどういうことよと。OSX10.4〜ってどういうことよと。パンサーはまだ現役よ!?シルキーピクス買えってか?OSを10.5に買えろってか?コレは本気でやめて欲しい。まじで。やめて。酷い。

超酷いので、オンラインユーザー登録の時に「DPP現像がOSX10.3で出来ないような、旧OSのユーザーを切り捨てるのは、本当の本当の本当に辞めて欲しい」って練りに練って書きに書いて送信ボタンをおしたら、セッションタイムアウトで送信出来なかった…キヤノンのセキュリティ設定ちょっと厳しすぎだよね。PW保存出来なかったりさ。





Canon EOS 5D MarkII + EF50mm F1.8 II





【まとめ】
値段がアレなので気軽にオススメですよーとか書けない(註7)を除けば、お世辞抜きで、とっても、良いカメラなんじゃないかなぁと思います。少なくとも旧5Dの画質番長的な側面は着実に受け継いでいます。二桁D系とは、ちょっと、格が違う感じもやっぱりするかも。


註1:20D以降の進歩が小さいとも言う
註2:40Dからは交換可能になった
註3:APS-Cサイズ専用レンズ、EF-Sの二本が無駄になった。一本(EF10-22mm)は後輩に売った
註4:これでかなりを使ってしまった訳ですが
註5:ピントが見えることと合わせられることは別の話orz
註6:キヤノンのAFは「なぁなぁ」で合焦を終えてしまう傾向がある気がする
註7:卒業旅行に資金的な理由で行けなかった!ぜんぶカメラに消えた!